« ブログの内容について考えています | トップページ | 公安刑事3 »

公安刑事2

公安刑事2.

 私は父に「なに?」と聞いた。父は「刑事よ。つけまわしとんのじゃ」と押し殺した声で答えた。私は不安になり父の大きな手を握り締め「はよ帰ろ」と父を見上げた。父は手を握り返し、小走りに私を引きずるように帰り道を急いだ。

 父の一周期の法事のとき従姉のえっちゃんと昔の話をしていたとき、「そういえばうちの裏にも佐藤はんという共産党の人がおって、ある晩ドタドタと音がして警察や!と大きな声がしたと思ったら、すごい勢いで人が逃げていったことがあったなあ。おっちゃんも昔は大変だったなあ。うふふ・・・」と含み笑いをした。

 我が家に出入りする刑事は5年ぐらいごとに交代していったが、その中で名前は忘れたが岩倉具視公のお札や写真を見ると思い出す人がいる。私が小学校3年生ぐらいだったと記憶しているが、1月中旬のある日、刑事コロンボが着ているようなコートを着てやってきた。いつものように父は涼み台をだして、ふたりならんで話し始めた。

 私は学校から帰って来て「秘密の基地」へ出撃するはずだったが、日ごろ刑事が何でうちに度々くるのか、疑問だったので、予定を変えて、どんな話をしているのか聞いてみようと、二人の前で遊ぶフリをしてうろうろしていた。子供が刑事の監視をするのはおそらく前代未聞だと思うが、その頃忍者に凝っていた私は、父たちから、ちょっとはなれたところで聞き耳をたてていた。気分は「草の者」だった。そうは言っても小学三年生の私は大人たちの話がわかるはずがない。ただ「パーロ」とか「ハチロ」とか言っていたのは憶えている。

一時間ぐらい話して父は家の中に引っ込んだ。刑事はすぐ帰らず私の方に向かって「ボク!」と声をかけた・・・  続く

 

 

« ブログの内容について考えています | トップページ | 公安刑事3 »

父の思い出」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1349367/33974711

この記事へのトラックバック一覧です: 公安刑事2:

« ブログの内容について考えています | トップページ | 公安刑事3 »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ