« 公安刑事5 | トップページ | 公安刑事7 »

公安刑事6

 公安刑事6.

 父が八路軍の話をした相手は公安刑事だけではなかった。我が家には度々父のお客さんが来たが、背広を着てネクタイをしめて来る人は限られていた。刑事と共産党の専従者である。その他我が家のたった一つの財産である洋服ダンスを差し押さえていった、裁判所の方から来た人がネクタイを締めていた記憶がある。共産党の人は常任委員と呼んでいた、地区の専従活動家が月に一回ぐらい来ていたようだ。年齢でいうと20代後半ぐらいの若い人が多かった。地区委員長という役柄は末端の支部や党員の指導をする人だが、私が記憶している人は父より年齢が10歳以上若く、したがって戦争経験がないので平党員とは言えど、父のような海千山千はかなりやりにくかったのではないだろうか。 おそらく赤旗新聞を拡大せよとか、党員を増やせとか、言ってくるのだが、父は「新聞なんか増やして革命ができるか」とか「大衆運動をせなあかん」とか「もっと人の世話をせな票はとれん」とか挙句のはてに「不破のようなミヤケンの茶坊主はあかん」とか言う始末で地区委員長もたじたじだ。結局最後は、自分の中国での体験談を延々と話し「八路軍のように人民に奉仕してこそ信頼をつかむ事ができる」で締めくくる。

 父の葬式の時来てくれた共産党のある活動家は、昔うちに回ってきてた頃のことを「いつ行っても八路軍の話ばかりしていた。あんたのお父さん、一人しゃべりっぱなしで、こっちのいう事なんか全然聞かない、文句ばっかりゆうとったなあ・・・」と苦笑した。葬式に来てそんな事言うなよと、私は思ったが本当の事だからしかたがない。公安はいい給料を貰っているはずなので、我慢して聞いていただろうが、共産党の専従者は指導しにいったら、反対に説教をされて帰るのだから。安月給で割があわなかっただろう・・・ 続く

« 公安刑事5 | トップページ | 公安刑事7 »

父の思い出」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1349367/34051267

この記事へのトラックバック一覧です: 公安刑事6:

« 公安刑事5 | トップページ | 公安刑事7 »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ