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公安刑事9

公安刑事9.

 新しい公安刑事が来た晩だったか、父が母に「黒田さんはかなり位が上の人らしいな、警部だそうだ」といっているのを、小耳に挟んだ。ちょっと記憶があいまいなところがあるが・・・たしか警部と言ったように思う。私は父に黒田さんは下町の駐在所にいるのかと聞いた。娘が同級生なので単純に地元の駐在所勤務だと思った。子供らしいトンチンカンなことを聞いたが、父は「警部が駐在所になんかいるわけがない、洲本署に勤めているのだろう」といったので、私はそのとき警部が警察の中でかなり上の地位である事が分かった。

 このころの父が公安刑事と会っているときの態度は、ごく普通の態度で敵視するわけでなし、歓迎するわけでなし、警察だからと卑屈なところもなく、自然流というかスマートだった。私なんか中学校の倫理社会で、民主主義とか言論の自由とか結社の自由とか習ったばっかりで、教科書に書いてあることが正しいと思っていた。社会の建前や本音はわからないが実際父が公安に監視されているのを知っているので、その理想と現実のギャップを見ると日本が自由だと言っても、「その程度の自由か」なんて斜めに構えていた。日ごろ父がやっている「党活動」なんて日本国憲法の範囲内で、武装蜂起なんてたくらんでるわけがない。家族4人でウサギ小屋のようなところで暮らしていれば、父が何をやっているのか子供の私でも分かった。父の活動が正しいか間違っているのかは分からなかったけれど、少なくとも法律に触れるような事はしていなかった。続く

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