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お盆になると思い出す話

お参り

  4年前父が亡くなり、その年の11月末から母と同居し始めた。それまで住んでいた、阿万(あま)の街中から1キロほど離れた隣町との境にある父の実家の近くまで引っ越した。父の実家には、中国から引き揚げてきて8年間住んでいた。隣近所の人達とも旧知の間柄であるので、年齢に関係なく「ちゃん」付けで呼び合う。引っ越してきてしばらくしたころ、隣保のふとん屋のあいこちゃんから、私たち家族が帰ってきたときの話をうかがった。

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 私たち家族が中国から帰国したのは1953年(昭和28年)のお盆のころで暑い盛りだった。当時高校生ぐらいだったあいこちゃんが今でも眼に焼きついている光景があると言う。父の実家の前には県道をはさんで大きな池があり、堤の脇の小道を約50メートルほど歩くとふとん屋さんに行きつく。「すみちゃん(妹)はお母さんに背負われて、一ちゃん(筆者)はヨチヨチ歩きでお父さんに手を引かれて池の横を歩いてくるのを家から見ていたんよ。戦死した二人の叔父さんをお参りに来てくれて・・・あの時の光景は忘れられんわ」 現在養子をとってふとん屋の跡を継いでいるあいこちゃんの叔父二人は大戦で戦死した。一人は父と同級生でもう一人とも歳が近いので遊び友達だった。

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 この話をきいて私は胸にぐっと来るものがあったが同時に、ちょっと意外な感じを持った。というのは父はほとんど無神論者といっていいくらい神・仏を信じなかったからだ。祖父の墓参りなど一緒にした事がなかった。父が寺社に参って手を合わせるなんて姿は金輪際見たことがなかった。

 20世紀は戦争と革命の時代だといわれるが、父は激動の時代を生き抜いてきた。おそらく神・仏が最も頼りなかった時代だと思われる。数多くの死線を潜り抜けてきて、15年ぶりで故郷の土を踏んだ父の同級生の多くは鬼籍に入っていた。この時父の胸に去来するものは・・・尋ねたい父はもういない。

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