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中国漁船拿捕事件は前原外相の大失態

 今回の事件の日本政府の対応、マスコミの報道、国民の反応を見ていると、いずれも自国の正しさを露ほども疑わず、挙国一致で毅然と日本の法律を粛々と実行すれば、不法な中国は黙ると読み違えた。中国がこんな無法なことを要求するのは、普天間の件で日米の不協和音につけ込まれたためで今後一層の日米同盟の深化をはからねばならないと25日の日経新聞も総括している。

 これこそ思考停止の典型で、今回の米国頼みの外交の敗北の原因ではないか。事件の主役、前原外相は国土交通相のときに漁船の拿捕をじきじきに指示をしていたようだが、外相の花道に上がったとたん粛々と船長を釈放して大恥をかいた。前原外相は23日のクリントン米国務長官との会談で「輸入牛肉の月齢制限の見直しをひとつの方向性として検討して、議論したい」と表明していたが、牛肉輸入緩和を手土産にクリントン国務長官から「尖閣諸島は安保の範囲」との言葉を引き出し、船長を釈放して矛を収めたようだ。しかし中国の謝罪と賠償要求でまだまだ治まらない。底の浅い戦略で日本は大やけどを負った。

屈辱の原点 

 なぜ中国がこれほど強行なのか日本はわかっていない。事件を引き起こしたのは日本であるという自覚が無い。菅新内閣は初閣議で尖閣での「領土問題は存在しない」と決定していたようだが、これを聞けば出先の海上保安庁は勇躍取り締まりに走る。日本は日中平和条約以来の「棚上げ」から大転換したのだ。

 中国はケンカを売られたと思っている。日本人の認識は「日本国内でパトカーが違反車を止めようとしたら逃げたので追いかけた。その時パトカーと接触したので公務執行妨害で逮捕した」ぐらいにしか思っていない。この落差は大きい。

 日本は尖閣諸島の領土権を主張するとき、明白で疑う余地は全く無いという。しかし中国は1895年以前の清、明の時代から中国の領土だったといっている。テレビなどで「1895年に誰も住んでないのを確かめて領有した」と説明しているが、日清戦争に勝利して清国から台湾・澎湖諸島と共に割譲したことを言わない。中国は「台湾と同じで戦争でとったものは不当だ」といっている。尖閣問題の根っこには日中歴史認識相違の原点がある。

 日清戦争に敗北した清は台湾・澎湖諸島を日本に割譲するとともに財政の3年分という巨額の賠償金約3億円(庫平銀2億両)を支払うはめになった。この資金は英、露、仏、独からの借金によってまかなわれ、清の財政は急速に悪化し半植民地へ転落の一歩となった。中国は尖閣諸島を台湾の一部とみなしているので、尖閣諸島は弱かった近代中国の屈辱を思い出す原点なのだ。従って今回初めて日本の国内法を行使しようとすると強くなった中国は国交断絶も覚悟して強攻策をとってくる。

 

 

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コメント

中国が辺境(チベットやウイグル)における過剰なまでの領土保全や、東シナ海における膨張主義をやってる背景には、前世紀に日本をはじめ列強による蚕食を受けた経験があるからなのではないかと思います。

「竜馬伝」では西洋人が悪役っぽく描かれていますけど、明治日本も対外進出していった背景にはおそらく幕末・明治初期段階で欧米人による侵略を受けかけて劣位に立たされたのだと思いますし、侵略されないためにはこちらから出ていかねばと近代日本の体外進出をやっていたら、それが今度は中国にとっての心的外傷のようになり、現代中国の外交的志向につながっているのではないだろうか、と考えます。

中国人もこの程度の小競り合いにおける勝利なんかで満足するはずもなく、真の大国となるためには必ずや戦争を欲するはずだ、と思いますね。中国版日清・日露戦争は来るべき戦争であると思いますし、日本外交は全力をもってこれの回避に当たらねばなりませんし、今のような日本が中国にとっての主敵となりえている状況は、個人的には好ましくないように思っています。

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