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「尖閣ビデオ」流出報道の問題点、神戸新聞の場合

 この2ヶ月余りの「尖閣狂騒曲」は海上保安庁の撮ったビデオ流出で一つの山を越えたが、関与を認めた保安官はいまだ逮捕されず、週刊誌のインタビューを受けるなどして事件そのものが政治的なショーになり、問題の本質から離れていくようだ。流出させた当人の意図は明白で、「暴支膺懲」中国の非を天下に知らせしめるためであろう。大多数の日本国民はその意図どおり、ますます中国に怒りを向けている。だがずさんな「宣伝映画」は、編集意図に反し、ほころびも見える。冷静に見れば衝突の1回目も2回目も「漁船が眺発して、体当たりしてきた」ようなものでは無く反対に巡視艇が漁船を捕まえようとしておきたアクシデントで、ただの拿捕事件である。

 私が子供の頃、北方領土付近の海で北海道の漁船がしょっちゅうソ連の警備艇に拿捕されていた。鰯の顔のようなグロムイコ外相が「クリル諸島に領土問題などない」と今の前原外相のようにふてぶてしい態度で一蹴していたのが思い出される。今回拿捕された中国の漁師も北海道の漁師と立場は同じだ。日本のマスコミは魚を追って漁に来ただけで、極悪人のように言っているが、漁師は「そこに魚がいるから取りに行くのだ」泳ぐ魚に国籍など付けられない。かつて領海3カイリ時代、日本の漁船は船団を組んで世界の海を渡り歩き乱獲を非難された。

 私は40年以上神戸新聞をを愛読しているが、尖閣報道があまりにもひどいので11月6日付けの紙面をネタに新聞の「客観報道」なるものを批判する。

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 第1面に「尖閣沖ビデオ流出」と大見出しがあり、記事の囲みに5枚の中国漁船の連続写真が載っている。2回目に「みずき」と衝突したときの、テレビでも頻繁に垂れ流されたビデオの静止画だ。ここの映像だけ見ると漁船が巡視艇を追いかけてきて体当たりをしたような感じを受ける、しかしこの前段があって「はてるま」からの客観的なビデオには「みずき」が漁船の前でUターンするのが映っている。(このビデオはテレビで放映されていない)

60116 漁船の前でUターンする巡視艇「みずき」「はてるま」から撮った静止画

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 三面記事を見てみると、一面の上から3枚目の巡視船と衝突した場面が一段と大きく載せられている。この画像をみて最初映画「ジョーズ」を思い出した。凶暴な鮫が襲い掛かってくる構図だ。そこには「中国船旋回し体当たり」と大見出しが付けられている。この表現は印象操作で左に舵を切ったと言うところだ。「旋回」はその前段に両船が対向したとき漁船の前で「みずき」がしたことをさす。「旋回」したのは巡視艇「みずき」で「中国漁船」は直進してきた。このあと両船は並走して、「みずき」が捕まえるため速度を落として漁船に幅寄せする過程で衝突が起こる。

60130 「みずき」が漁船に幅寄せしている。「はてるま」から撮った映像。

60155  衝突後「みずき」が急加速で漁船から離れる。黒煙と水しぶきに注目すると漁船と比べ物にならない高性能の巡視艇であるのがわかる。かなり荒っぽい操船で「高トルク」でエンジンは廻っている。この高性能の「みずき」に後ろからぶっつける能力を漁船は持っていない。「はてるま」から撮った映像

 このときの衝突の写真は、黒煙や水しぶきがまるで漁船から出ているように映っているが、「みずき」がだしたものだ。

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 記事の横に衝突時の状況図が書いてあるが、1回目の「よなくに」との状況図には「よなくに」が漁船の前に入り込み進路を妨害している事実を伏せている

 2回目の状況図をみると平行してやや前を走っていた「みずき」に、漁船がスピードをあげ左に曲がり当たったかのように示しているが、前段階の「みずき」が並走しながら漁船に幅寄せした事実が抜けている。「みずき」がスピードを落としたため当たった可能性もある。赤矢印で書かれたその後の両船の進んだコースも間違って書いている。「みずき」は左に進んだように書いてあるが、事実は急速に漁船から離れ右方向にカーブした。

60209_2  衝突後の「みずき」の進路。

 相対する動体の一方から相手を見ても客観的な動きはわからない。まして映像に一方の当事者のナレーションなどつければ、それだけで第3者は予断が生まれる。「みずき」や「よなくに」から撮った「主観的尖閣ビデオ」の映像は「だまし絵」である。洪水のように流された「ビデオ流出報道」の欠陥は「みずき」の主観的映像のみを流していることだ。漁船拿捕事件は「はてるま」からとった客観的映像を見ることにより実相がわかる。

 この神戸新聞の記事に限らずテレビ局の報道も。ビデオの一部分の刺激的な映像とナレーションに踊らされたものが多い。新聞記事やテレビを見た読者もまともに全体のビデオの映像をみないで憤る。この編集されたビデオでも注意深く見れば、中国船が「挑発的に暴れて当て逃げ」したのではないことがわかるので中国政府は歓迎しているのではないか。このほかの編集されていないビデオも公開されるともっと真実がちかくなる。

 今回の事件の本質は、これまで暗黙のうちに日中で合意されていた「尖閣領土棚上げ」を日本が破り、主導的に警備艇が漁船を捕まえたことだ。日本国民はマスコミにあおられないで、冷静にビデオの全体をみて、ことの本質を考え悪戯に反中国感情に流されてはならない。

参考サイト:孫崎 亭ツイッター    ni0615さんのブログ  

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コメント

相変わらず、「中国は悪くない。日本が悪い」のスタンスでは一貫してますな。

まったく同感です。今回の事件は軽自動車がF1フォームラカーに広い太陽で「衝突」したことになります。これはミズキが意図的に速度を落とさない限り不可能な衝突です。国民は映像の「手品」にだまされています。ついでに書けば、国際法的に日本の主張はあやまりです。一文を草しています。ご連絡くださいメールにてお送りいたします。

上様
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