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「尖閣事件」元保安官を起訴猶予

 1月22日の神戸新聞によると尖閣諸島での中国漁船拿捕・衝突事件の映像流出事件で東京地検は21日、映像を動画サイトに投稿して国家公務員法の守秘義務違反容疑で書類送検された一色正春海上保安官(44歳依願退職)を起訴猶予にした。この事件の処理をするにあたって東京地検は悩ましい判断を迫られた。

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 本来、国民の知る権利とか情報公開を声高に叫ぶのはリベラル・左翼の専売特許と見られるが、この元保安官は思想的には右寄りで、日本の領土である尖閣諸島が中国に犯されたと、危機感を抱き違法行為を覚悟のうえ、正義感からビデオを公開したと言う。

 法治主義を唱え、日本の国家主権の強化を進める立場からすればこの元保安官を起訴するのは当然で、懲戒免職にしてしかるべきだ。しかしビデオの公開が「中国の無法ぶりを暴き日本の正義を証明した」と信じ込んでいる多くの日本人から見ればこの保安官を罰するのは「正義」に反する。そこで起訴猶予という甘い人治的な判断をしたと思われる。このことは中国を人治主義であると批判する日本の立場を危うくするもので、右翼国家主義者がアナーキーな主張をして国家の「解体」を助長している図式が見える。

 国家主義者を自認する作家佐藤優は苛立ちをかくさないで次のようなコメントを発表している。

日本の法益を明らかに侵害した中国人船長は起訴すべきだった。元海上保安官は社会的制裁を受けており、起訴猶予の判断は有りえると思う。ただ海保のような軍隊型の組織には特別の規律があるべきで、武器を持つ立場の人間が正義感だけで職務命令に反することには歯止めが必要だ。政府は中国への対応や情報管理の在り方について今回の件を総括して教訓とするべきだが、最後まで全ての問題点にふたをしているように感じる。 1月22日付け神戸新聞3面より

嘘はいつかばれる

 映画監督の伊丹万作が『戦争責任者の問題』(「伊丹万作全集1」筑摩書房刊)で、第二次大戦で悲惨な体験をした日本人の多くはだまされて戦争をやらされたと言っているが、当事者意識がなく簡単にだまされたと言ってけろっとしているようではこれから何回でもだまされるだろうと書いている。尖閣での漁船衝突・拿捕事件での日本人の反応を見るとこの「予言」は戦後65年たっても的確だといわざるを得ない。元外務省主任分析官で格段の博識を持つ佐藤優でさえ「中国船長がぶつけてきた」と思っているので事実が見えない。

 共産党独裁で資本主義をやっている中国は一般日本人から見ても欠陥だらけの国家で、批判すべき事は山ほどある。しかしそれは事実に基づいて批判すべきだ。謀略で虚構を並べて非難しても、相手は露ほどにも感じないし、いつか嘘はばれ、恥をかくのは日本人だ。満州事変では柳条湖の爆破現場の写真を公開してシナ兵の仕業だと日本国民や世界中を騙した。張作霖爆殺事件では苦力を殺しその死体を現場にならべて演出したが、戦後みな嘘だとばれてしまった。

二つの追送検

 同日、那覇地検でも海上保安庁の巡視艇に故意に衝突したとして公務執行妨害で逮捕後、処分保留で釈放した中国人船長を起訴猶予にした。那覇地検で会見した鈴木享次席検事は、船長が巡視船「みずき」以外にも「よなくに」に衝突したとする公務執行妨害容疑や、尖閣諸島周辺海域で操業したとの外国人漁業規正法違反容疑で20日に追送検されたことをあきらかにし、今回の処分に含まれるとした。

 この二つの追送検は矛盾に満ちたもので、最初のボタンを掛け違うと最後までなおらないことを示している。外国人漁業規正法で中国漁船を拿捕するなら網をうって魚を獲っている時に現行犯逮捕すればいいことである。なぜそうしなかったかといえば、孫崎享の言うように日中平和条約で未解決の領土問題は棚上げにするという暗黙の合意があったからだ。それまで中国漁船を公然と拿捕したことがなかったため躊躇した。

 田中康夫議員が『領海侵犯や違法操業、入管法違反という毅然たる「王道」でなく、公務執行妨害という「覇道」で逮捕の意気地なき判断ミスを前原氏が下したのが、その後の迷走の原因』というのはあたっている。後だしジャンケンで今頃追送検をしたところで、起訴しなければ負け犬(前原はケンカが弱い)の遠吠えにすぎない。 漁船が警告に従って網を上げ、現場から立ち去ろうとしたとき、進路を妨害すれば衝突せざるをえない。このとき現場には4隻から5隻の巡視船が中国漁船を包囲していた模様だ。最初から公務執行妨害をでっち上げて逮捕するつもりだったのだろう。政府のいう事は何でも信じる従順な国民は「違法操業をしながら体当たりをしてきた凶暴な中国漁船」に怒り狂った。昨年末の各種世論調査で日本国民の中国に対する不信感は国交回復後ピークに達した。

 私はビデオを公開した元保安官とは逆の立場で真実が知りたい。そのために政府はビデオの全部を国民の前に公開しなければならない。元保安官は起訴猶予処分を不服として検察審査会に審査を申し立てるそうだが、これからもこの動きを注視したい。 続く

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