« 父の15年戦争20.満州事変を見た子供たち | トップページ | いなみ野学園の方々が来島 »

「尖閣・領土棚上げ」は紛争防止の知恵

喧嘩を売ったのは石原都知事 
 野田首相の「尖閣国有化宣言」以来中国で、反日デモの暴威が振るっていたがようやく沈静の兆しが見えてきた。いかに抗議活動とはいえ、放火をしたり略奪をするのは犯罪であり、中国政府に自制を促すのは当然である。しかし物事には原因と結果がある。2010年9月の「漁船衝突事件」でもそうだったが、周恩来・鄧小平と結んだ「尖閣棚上げ」を一方的に破り、日本側が仕掛けたのを頬かむりして、相手の非を非難するのは公正ではない。
 4月に石原都知事が尖閣購入発言をして以来、日中関係は国交回復後最悪になった。丹羽中国大使が警告したとき日本政府・マスコミは彼を国賊扱いして、耳をかさなかった。
 野田首相は中国がここまで強硬になるとは「想定外」と無責任な談話をしているが、9・18満州事変の前に「国有化宣言」を出す外交センスは素人以下である。日本人は中国の強硬態度に非難轟轟だが最初にケンカを売ったのは日本(石原都知事)だということを忘れてはならない。稀代の煽動家に踊らされ、相手国が何を考えるのかさえ分からないものが日本の政治をもてあそんでいる。こちらが毅然とすれば相手も毅然と対応する、7月に野田首相は海上自衛隊を東シナ海に出すような事を言ったが、そうすれば向こうも海軍を出してくるだろう。中国軍人の強硬な態度は野田首相の発言を受けてのものだ。

 「棚上げ」は主権放棄ではない 
 今朝、ABCテレビの「報ステSUNDAY」を見ていて気がついたのだが、尖閣「棚上げ」を意図的にゆがめて報道していた。「緊迫の日中国境最前線」と題された映像では反日デモで焼き討ちされた、パナソニックの工場の無惨な姿を映し、次に1978年鄧小平が来日した際、の記者会見で「われわれは遅れて貧しいことを認めなければならない。日本の偉大な経験に学ばなければならない」と表明した映像、続いて鄧小平は新幹線で大阪・門真のパナソニックの工場を訪れ、当時の松下名誉会長に中国近代化の協力を要請し、松下はこれは金儲けではなく困っている中国の近代化に協力するのだとパナソニックは中国に工場を建てる。

 次の映像は鄧小平の「この問題(尖閣・領土問題)はわれわれの世代は知恵がないので、次世代にゆだねよう」との有名な談話を映した。この番組構成では「棚上げ」が中国側の一方的な譲歩であるように描いている。つまり貧乏で苦しんでいる中国が優れた技術をもつ日本に教えを請うため、尖閣で譲歩したと取れるのだ。
 これは間違いで日中両国主権は互いに主張するが、それを裏付ける行動(法の執行)をすると衝突するので慎むというのが「棚上げ」で、鄧小平は中国の主権を一度も取り下げた事はなない。日本も「棚上げ」を守っていたからこそ、「漁船衝突事件」が起きるまでこの40年ほとんど波風がたたなかった。

 番組最後では尖閣付近に展開する漁業監視船や最近の人民解放軍の将軍の強硬な意見を映しなぜこれほど中国は強硬姿勢なのかと問い、天安門事件の映像や若者がデモで毛沢東の肖像を掲げる姿を上げ、中国は鉄砲から生まれた革命政権で昔は貧しくても皆が平等だったのが、改革解放で貧富の差が生まれ若者の不満が鬱積している。その目をそらすのために領土問題で強硬なのだというステレオタイプの結論になっていた。
「棚上げ」は紛争防止の知恵
 日本人の多くはこの日の「報ステ」のように被害者ぶって日中関係悪化をみているようだが、向こうが一方的な悪者で、日本人は正義をすべて背負っているのか。これでは、どうすれば友好的な関係に戻れるのか道筋は見えない。これはかなり危険な状況ではないか、戦前の暴支庸懲(暴れる支那を懲らしめる)と同じではないだろうか。中国が一方的に悪ければこちらは海上自衛隊をもっていって毅然とするしかない。同じように中国も人民解放軍を持ってきて毅然とするだろう。
 
 日本の大マスコミは尖閣に限らず領土問題で相手国の主張をほとんど取り上げないか、ゆがめて報道をする。日本人はマスコミの影響で政府のいう事を盲目的に信じているがこれほど悪化したら両国首脳は今すぐ話しあうしかないだろう。実際、中国政府は話し合いで解決しようといっている。しかし野田首相は尖閣で領土問題はないというばかりだ、どちらが強硬なのか。日中平和条約には両国の紛争は武力を用いず話し合いで解決するとある。自衛隊を南西諸島に常駐し、軍備を増強すれば必ず中国も同じように軍備を増強し紛争の迷路に入る。反対に日本が周恩来・鄧小平以来の尖閣・領土「棚上げ」に立ち返れば、紛争は収まり友好の大道に戻れる。「棚上げ」は決して弱腰ではなく紛争防止の知恵なのだ。

« 父の15年戦争20.満州事変を見た子供たち | トップページ | いなみ野学園の方々が来島 »

尖閣問題・領土問題」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。

私しは、すま海岸と申します。

ブログ管理者さんの尖閣諸島の件、大変啓発されました。
ありがとうございます。

お話しの一つひとつ、大変感じ入りました。

まともな尖閣並びに日中間のことについて、解説が見当たらない中、管理者さんのご解説は私の心にすっと入って参ります。

管理者さんのお考えに同感、共感で~す。!☆

紆余曲折はありながら、最終的には管理者さんが仰るように「棚上げ」を、日本は反省をこめて、中国は認める形で再確認する以外、道は開けないと思います。

日本人として、中国人を同じ人間でないかみたいなことをかまびすしく叫ぶ日本人の多いのに、恥ずかしいというか、大変残念な気がします。

またお邪魔したいと申します。
よろしくお願いします。

すま海岸様
コメントありがとうございます。最近の中国に対する日本人の悪感情には恐ろしいものがあります。相手を人間だと思っていない。歪んだ情報がマスコミを覆っています。
父は戦前日本人は朝鮮人や中国人を人間扱いしていなかったと言っていました。それで行くつく先は敗戦の惨めな姿です。日本人はこの教訓を忘れてはならないと思います。
領土問題は国民の我欲を刺激して正常なな判断を鈍らせます。
私の祖父は第一次世界大戦で青島に従軍、父も何の疑いもなく政府を信じて14歳で銃をもち満州に行きました。
最近の日本人は日本が明治以来敗戦まで大陸で暴れまわった事実を全く忘れています。日中は二度と戦ってはなりません。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1349367/47150271

この記事へのトラックバック一覧です: 「尖閣・領土棚上げ」は紛争防止の知恵:

« 父の15年戦争20.満州事変を見た子供たち | トップページ | いなみ野学園の方々が来島 »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ