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平瀬さん(1)

先週、平瀬さんから寒中見舞いをいただきまして「とうとう九十歳になった」と書いてありました。私も今年65歳になりますが、お互い年をとったなあと思うこの頃です。

平瀬昭三さんは私が小学校の低学年の頃、よく家に来ていた方で、いつも背広を着て、冬は白いコートを羽織って、きちんとした身なりをしていました。そのころ田舎では、背広を着てネクタイを締めている大人はめったに見なくて、珍しい存在でした。小学校の校長先生、うちによく来ていた公安刑事、父の留守の時にきた、借金の差し押さえ人。この中でも平瀬さんは子供から見ても無口で、温厚な人柄で、父が帰ってくるまで、よく私の相手をしてくれました。

平瀬さんが来たとき、父はめったにいなくて、一時間も二時間も静かに待っている。二時間も過ぎるとさすが、時計をチラチラ見ながら、「お父さんおそいなあ」なんて言いながらも辛抱強く待っている。三時間ぐらいたってやっと見切りをつけて帰ってゆく。

そんな平瀬さんは一体何をしているのかよく分からなかった。母に尋ねると「共産党よ」ふーん背広来て、人を何時間も待って、帰ってゆく。定期的にきて、その繰り返し。ますますわからなくなった。

続く

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