尖閣問題・領土問題

「尖閣・領土棚上げ」は紛争防止の知恵

喧嘩を売ったのは石原都知事 
 野田首相の「尖閣国有化宣言」以来中国で、反日デモの暴威が振るっていたがようやく沈静の兆しが見えてきた。いかに抗議活動とはいえ、放火をしたり略奪をするのは犯罪であり、中国政府に自制を促すのは当然である。しかし物事には原因と結果がある。2010年9月の「漁船衝突事件」でもそうだったが、周恩来・鄧小平と結んだ「尖閣棚上げ」を一方的に破り、日本側が仕掛けたのを頬かむりして、相手の非を非難するのは公正ではない。
 4月に石原都知事が尖閣購入発言をして以来、日中関係は国交回復後最悪になった。丹羽中国大使が警告したとき日本政府・マスコミは彼を国賊扱いして、耳をかさなかった。
 野田首相は中国がここまで強硬になるとは「想定外」と無責任な談話をしているが、9・18満州事変の前に「国有化宣言」を出す外交センスは素人以下である。日本人は中国の強硬態度に非難轟轟だが最初にケンカを売ったのは日本(石原都知事)だということを忘れてはならない。稀代の煽動家に踊らされ、相手国が何を考えるのかさえ分からないものが日本の政治をもてあそんでいる。こちらが毅然とすれば相手も毅然と対応する、7月に野田首相は海上自衛隊を東シナ海に出すような事を言ったが、そうすれば向こうも海軍を出してくるだろう。中国軍人の強硬な態度は野田首相の発言を受けてのものだ。

 「棚上げ」は主権放棄ではない 
 今朝、ABCテレビの「報ステSUNDAY」を見ていて気がついたのだが、尖閣「棚上げ」を意図的にゆがめて報道していた。「緊迫の日中国境最前線」と題された映像では反日デモで焼き討ちされた、パナソニックの工場の無惨な姿を映し、次に1978年鄧小平が来日した際、の記者会見で「われわれは遅れて貧しいことを認めなければならない。日本の偉大な経験に学ばなければならない」と表明した映像、続いて鄧小平は新幹線で大阪・門真のパナソニックの工場を訪れ、当時の松下名誉会長に中国近代化の協力を要請し、松下はこれは金儲けではなく困っている中国の近代化に協力するのだとパナソニックは中国に工場を建てる。

 次の映像は鄧小平の「この問題(尖閣・領土問題)はわれわれの世代は知恵がないので、次世代にゆだねよう」との有名な談話を映した。この番組構成では「棚上げ」が中国側の一方的な譲歩であるように描いている。つまり貧乏で苦しんでいる中国が優れた技術をもつ日本に教えを請うため、尖閣で譲歩したと取れるのだ。
 これは間違いで日中両国主権は互いに主張するが、それを裏付ける行動(法の執行)をすると衝突するので慎むというのが「棚上げ」で、鄧小平は中国の主権を一度も取り下げた事はなない。日本も「棚上げ」を守っていたからこそ、「漁船衝突事件」が起きるまでこの40年ほとんど波風がたたなかった。

 番組最後では尖閣付近に展開する漁業監視船や最近の人民解放軍の将軍の強硬な意見を映しなぜこれほど中国は強硬姿勢なのかと問い、天安門事件の映像や若者がデモで毛沢東の肖像を掲げる姿を上げ、中国は鉄砲から生まれた革命政権で昔は貧しくても皆が平等だったのが、改革解放で貧富の差が生まれ若者の不満が鬱積している。その目をそらすのために領土問題で強硬なのだというステレオタイプの結論になっていた。
「棚上げ」は紛争防止の知恵
 日本人の多くはこの日の「報ステ」のように被害者ぶって日中関係悪化をみているようだが、向こうが一方的な悪者で、日本人は正義をすべて背負っているのか。これでは、どうすれば友好的な関係に戻れるのか道筋は見えない。これはかなり危険な状況ではないか、戦前の暴支庸懲(暴れる支那を懲らしめる)と同じではないだろうか。中国が一方的に悪ければこちらは海上自衛隊をもっていって毅然とするしかない。同じように中国も人民解放軍を持ってきて毅然とするだろう。
 
 日本の大マスコミは尖閣に限らず領土問題で相手国の主張をほとんど取り上げないか、ゆがめて報道をする。日本人はマスコミの影響で政府のいう事を盲目的に信じているがこれほど悪化したら両国首脳は今すぐ話しあうしかないだろう。実際、中国政府は話し合いで解決しようといっている。しかし野田首相は尖閣で領土問題はないというばかりだ、どちらが強硬なのか。日中平和条約には両国の紛争は武力を用いず話し合いで解決するとある。自衛隊を南西諸島に常駐し、軍備を増強すれば必ず中国も同じように軍備を増強し紛争の迷路に入る。反対に日本が周恩来・鄧小平以来の尖閣・領土「棚上げ」に立ち返れば、紛争は収まり友好の大道に戻れる。「棚上げ」は決して弱腰ではなく紛争防止の知恵なのだ。

パンダの赤ちゃん死ぬ

 P1030270 7月12日付神戸新聞より
 7月11日、東京上野動物園で5日に生まれた、パンダ・シンシンの赤ちゃんが死んだ。今朝のテレビのニュースで子供が泣いている場面を見たが、尖閣の問題で日中が対立する中、残念なことだ。
ちょっと前、石原都知事がパンダの赤ちゃん誕生の感想を聞かれ、「興味がないと」と言ってのけたあと、名前を「尖尖」か「閣閣」にすればよいとのたまった。冗談とも本気ともつきかねるが、この人がいうと本当に政治問題になる。友好のシンボルが、煽動政治家にかかれば対立のシンボルにもなってしまう。もともとパンダを貸して欲しいといったのは東京都のほうではなかったのか?生まれてきたパンダもそれが嫌であの世に行ったのかもしれない・・・
P1030279 7月12日付神戸新聞より
 同じ11日、尖閣周辺に中国の漁業監視船3隻が一時領海に侵入する。これは野田政権が尖閣諸島の国有化を打ち出したのをけん制する狙いがあると思われるが、領土問題の対立が危険な方向に進んでいる。

 11日読売「中国船の尖閣沖侵入」。恐れたことが次第に発展。日本が領有の立場を強める動きすれば中国も動かざるをえない。領有争いで軍事紛争にいくのは全くの愚。その愚を日本、中国まっしぐら。ほくそ笑んでいるのは対中軍事台頭で日・韓・台・比利用するオフショアーバランシング推進の米軍関係者
 尖閣:危惧がだんだん具体化。「棚上げ」は日中領有主張の中、中国が日本の管轄を容認、中国の武力不行使で日本に有利なことを理解すべし。11日朝日「尖閣沖、中国の漁業監視船3隻が一時侵入。退去要求に”正当な公務。妨害するな。直ちに中国領海から離れなさい”の趣旨を無線で伝えてきたという」 孫崎享ツイッターより

 孫崎氏の言うとおり日本が領有の確定を急ぐほど中国も同じ動きをする、行き着く先が軍事紛争になるのは目に見えている。これを望むのは米国の軍産複合勢力で、日本を中国の「かませ犬」に仕立て上げようとしている。
 一番望ましいのは「棚上げ」。こんな芥子粒ほどの誰も住めない島の領有で争うのは愚の骨頂。

石原慎太郎

 都知事よお前の現在の一番すべき仕事は都民を放射能から守る事ではないのか。なんら有効な手立てをうてず、首都圏から人は西に逃げている。都政より国政への未練がタラタラで、新党新党と叫ぶも賞味期限のすぎた老体では国民がついてこない。そこで領土問題を煽って人気を得ようとするのか。そうはいかんだろう。これって国益に名を借りた地上げではないか。領土を守るなんて美名に税金投入は許されないだろう。公有化するなら地権者は無償で提供すべきで、それでこそ愛国者ではないのか。

 それにしても情けないのは東京都民。自分達の税金が、都知事の国政への野望につかわれてもいいの?石原都知事が知事になって当初、米軍横田基地の返還なんて、大風呂敷広げてその後どうなったの?なんら実効ある政策をしたのか。

 都民が見ざる、言わざる、聞かざるでは都知事のしたい放題。マスコミは権力の手先としても、何故こんな危険なパフォーマンスをもっと批判しないのか。消費税値上げ、原発問題から目をそらすのに隣国との対立を煽る。憎悪でこちらが燃え上がれば、むこうも燃え上がり抜き差しならぬ事になる。いつか来た道で、国を守る美名で殺し合いをするのは国民。権力者は傷つかず、見ているだけだよ。 石原なんて真っ先に逃げるよ。

 戦前、台湾も朝鮮も樺太も千島も満州もみーんな日本のものだった。けど戦争に敗れすべて失った。たまたま米軍が沖縄を占領していたため尖閣は残ったように見えるけど、あそこに米軍の射爆場があるところを見ると、完全に日本のものじゃないよ。まずアメリカから取り返すことが先ではないか?

大博打元も子もなくスッテンテン(甘粕正彦)

中国とどうつきあうかー神戸新聞の記事より

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 3月2日の神戸新聞6ページに前中国大使の宮本雄二氏と評論家松本健一氏の「争論」が載っています。私は最近両者の著作を読んでいたので、興味深く読みました。

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 松本氏は「漁船衝突事件」での中国の強硬な態度を、日露戦争当時の日本と比較。高まるナショナリズムが強硬な態度をとらせていると分析している。日本の態度について、「2年前自民党政権時代に領海侵犯した漁船の船長を逮捕するマニュアルを作っていたので、その通り菅首相と前原外相が逮捕して国内法で裁くという態度をとったが、仙谷官房長官が外交問題を処理するマニュアルが無かったのでまずいと思った」と述べている。

 松本氏は大変重要な事をいっている。2年前に領海侵犯した中国漁船を拿捕する方針に日本は転換したと。元外務省の孫崎氏などが言っている、鄧小平以来の「尖閣領土問題棚上げ」から違法漁船をドンドン拿捕する実効支配強化に変わったのなら、なぜ「公務執行妨害」で逮捕したのか?ということだ。田中康夫議員が言ったように、堂々と領海侵犯あるいは不法漁業で逮捕すればよいのだ。逮捕容疑は挑発して、体当たりしてきた。「悪質だから」捕まえたと前原外相は言っていた。外国人漁業規正法で追起訴したのは、元保安官を起訴猶予にして、ビデオ流出事件が終わってからだった。

 私は「漁船衝突事件」は中国漁船が「体当たり」したのではなく、巡視艇が当たるように仕向けて拿捕したと考える。あの「ビデオ」は編集された政治宣伝映画である。松本氏が「中国が強硬」に見えるのは多くの日本人同様、事実から出発していないからだ。強硬なのは日本であると理解できないのは漁船が体当たりしてきたと思っているからだろう。ほとんどの人はネットに流出したビデオさえまともに見ていない。そこからさらに切り取った数十秒のシーンをみて「体当たり」だと思っている。

 宮本雄二氏は「船長を逮捕し、日本の法的な手続きに乗せれば、確実に重大な外交問題になるという見通しは持っていたはずだ。早期に外交問題化を回避する余地はあった。日中の相互理解がまだ足りない」と日本の「船長逮捕」を批判している。インタビュアーの「中国は外交姿勢を強硬化させたのでは」との問いに「1840年のアヘン戦争以来の歴史的な体験により、中国人は外の世界に猜疑心を持っている」と指摘また米国など先進諸国はあらゆる機会を狙って中国の政権を崩壊させようとしていると信じているので、軍事的に包囲されていると感じている。経済大国になったので、必要とする資源エネルギーが大きい、そのことから資源確保に強い願望が出てきたと、現在の中国を分析している。「覇権国家になる恐れはないのか」との問いに、中国にはタカ派軍人だけでなく、国際協調を主張するさまざまな考えの学者もおり、心配することはない「パワーポリティクスを越えて王道政治、王道外交の道を歩みうると」答えた。私は宮本氏の主張におおむね賛成する。宮本氏は中国をよく理解している。彼が大使を交代せずに続けていたら「漁船衝突拿捕事件」はここまで悪化しなかっただろう。

 日中関係は1930年代に似てきたという見方について「日中戦争の時代、日本の政府・軍は中国の強い民族主義について、等身大の理解ができずに対応を誤った」今はある程度理解していると述べ、最後に「日中は共に大国であり引越しはできない隣国。この大国関係をより安定し、予測可能なものにしていくことは、間違いなく日本および中国の絶対的な国益だ、両国の相互理解を促進し、戦略的互恵関係を強化していくべきだ。今年の辛亥革命100周年、来年の日中国交正常化40周年は好機だ。両国民が相手を等身大で見る状況をいかにしてつくるか、記念行事の大きな目標であるべきだと思う」と締めくくった。

 私が宮本氏の言葉で一番印象に残ったのは「両国民が相手を等身大に見る」というところです。現在の日本人は中国を人食いざめジョーズのような怪物に見ている。相手は自分達と同じ人間である。この当たり前の認識が欠けている。また松本氏の日中は「ナショナリズムをこえてアジアのアイデンティティーをともに考えていくべきだ」というのは賛成です。しかしこのインタビューで触れられていないこと、松本氏の持論である「東アジア共同体創設」の最大の「妨害者」アメリカの存在です。日本外交は「アメリカ問題」しかない。この問題を二人の識者に一番聞きたかった。 

 この記事には、下段に二人のインタビューのまとめが載っている。事件から半年が過ぎ熱狂から冷めたのか、共同通信編集委員の森保宏氏は「中国が民主的で国際社会と協調できる大国になるよう辛抱強く働きかけるべきだ。両国メディアは国民のナショナリズムをあおりがちだが、より冷静で正確な報道を心掛けていきたい」と最後に書いているが私は大手マスコミ各社に、この言葉の確実な実行を望みます。

 

北方領土4島返還の幻想

 2月25日、読売テレビのウエークで「緊急激論”北方領土”が危ない前原外相に生直撃!強引ロシアにどう対抗」のはでな番組見出しに引かれてみました。

 結局ロシアでの外相会談は何の進展もなく、何の対抗措置も取れないことがわかりました。最近の原油価格高騰で、中東にあまり依存せず、ロシア産の原油輸入の増大をはからなければならないことから、菅総理も「許しがたい暴挙」と振り上げた拳の収めどころを失った感じです。

 出演した森本敏氏はメドベージェフ大統領が今後日本とは「領土交渉はしない」と言っているのを「本気かどうかわからない」と言う始末で日本の対米追随者の有識レベルが見透かされます。韓国や中国に投資を呼びかけ、自らインフラ整備に乗り出し、軍備も増強すれば、本気だという事はハッキリしている。

日本政府は国際的に見て全く返る可能性のない国後・択捉の返還を外交の重点にしてきたことを反省する時期。国民も又事実を直視する時期。(繰り返す):(1)ポツダム宣言で日本は「本州、北海道、九州及四国竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」 受諾。本州等の他は「吾等ノ決定スル諸小島」で連合国側が日本の物と言わない限り日本の物ではない。(2)サンフランシスコ条約では千島を放棄。吉田首相はこの会議で国後択捉南千島と位置付け。この時点で日本は国後択捉に関する「権利、権原及び請求権を放棄」(3)日本が放棄した国後択捉がどうなるかは連合国内部の問題。それは米国とソ連(ロシア)の問題。ルーズベルトは千島をあげる条件でソ連の参戦を要請。ルーズベルト、トルーマンは千島をソ連に約束帰属がどうなるかは連合国間の問題。米国はヤルタ会談でソ連の対日参戦を要請。その見返りにルーズベルト北方領土をソ連に渡す約束。米国は戦後国後択捉を有していることに抗議を申し入れていない。国後択捉の南千島は日本固有の領土論はサンフランシスコで認められなかった議論。    孫崎享ツイッターより

 孫崎氏のように事実をきっぱり言う元外交官はいませんね。日本の知識人というのは領土問題になると「売国奴」といわれるのを恐れて何も言わない、勇気が無い。千島列島の帰属問題というのは連合国の問題であって、放棄した日本は当事者では無いというのが、冷徹な現実です。それでもフルシチョフ政権が日本の実力を評価して1956年に鳩山政権と歯舞・色丹2島返還で合意しかけたとき、ダレス米国務長官は、日本は放棄した千島列島をソ連に引き渡す権利をもっていない、そういうことをするなら沖縄を併合すると言って脅かした。

 北方領土5(参考)1956年日ソ交渉で領土を画定しようとした際の米国反応。1956年9月7日「日ソ交渉に対する米国覚書、「日本は「サ」条約で放棄した領土に対する主権を他に引き渡す権利を持っていない。。。かかる行為に対してはおそらく同条約によって与えられた一切の権利を留保と推測北方領土6(参考2):1956年8月19日、重光外相ダレス長官を訪問し、日ソ交渉の経過を説明。ダレス長官は、“日本側がソ連案を受諾(千島列島をソ連の帰属)することは、米国も沖縄の併合を主張しうる立場に立つわけである”と発言。後々これは関係者間でダレスの恫喝と言われる 孫崎享ツイッターより

 アメリカは戦後ソ連と冷戦に入ったので、日ソが仲良くすることを許さなかった。それ以後日本は4島返還を主張するようになる。日本は第二次大戦でソ連が日ソ中立条約を破ったことと、60万関東軍兵士をシベリアに抑留した事で、自分が被害者になったような錯覚をしている。戦後長い間、ソ連は火事場泥棒であると非難し続けた。確かに火事場泥棒であった。シベリア抑留はポツダム宣言違反である。しかし戦前の大日本帝国は良い子ちゃんだったのか。

 第一次大戦で中国のドイツ租借地、青島を攻撃したのは火事場泥棒ではないのか。ロシア革命の時に他の帝国主義諸国と干渉派兵をして、その後4年間もシベリアに居座ったとき領土拡張の野心が無かったのか。蒋介石が江西省の共産党根拠地を攻めて余力が無いとき、満州事変を引き起こしたのは、火事場泥棒ではなかったのか。ヒトラーが独ソ不可侵条約を破ってソ連に侵攻してモスクワも危うしとなったときに、満州に70万の大軍を送り(関特演)極東ソ連軍を牽制したのは、挟み撃ちにするつもりだったのか。ヒトラードイツがフランスを破りビシーかいらい政権ができたとき、北部仏印に進駐したのは火事場泥棒で無かったのか・・・

 北方領土問題というのは対ロシア一国だけの問題だけではなく第2次大戦時の連合国と枢軸国の関係が複雑に絡み合っている。その後米ソ冷戦でアメリカが介入し続ける事によって、北方領土が遠のいたり近づいたりする幻想を日本が持つようになった。海部元首相がインタビューで自分が首相の時に4島が一番近くなったと誇らしげにしゃべっていたが、蜃気楼ではなかったのか。

 戦後アメリカは日本が中国やソ連と仲良くしないように工作し続けてきた。冷戦のときはソ連が攻めてくるといい、現在は中国が攻めてくると脅かしている、そのせいか政党でいえば共産党から自民党、民主党まで領土問題では足並みを揃えて、挙国一致だ。共産党なんか北千島も含めた全千島の返還を要求している。この前「チャンネル桜」を見ていたら水島キャスターが、共産党の全千島要求を誉めているのでビックリしました。「週刊金曜日」で本多勝一もロシアを「侵略者」と罵倒していました。しかし政治レベルで挙国一致でも外交は全く進まない。やはり戦後半世紀以上国民に幻想を振りまいてきた外交当局が間違っていたのではないだろうか。

 番組の最後に、「北方領土がもしロシアのものとなったら」尖閣も、沖縄も取られてしまうと、自衛隊の元幹部である志方俊之氏にアジらせていた。この設問自体、欺瞞的ですね。すでに65年以上ロシアのものになっている現実から目をそらしている。番組では町の市民に北方領土のことを聞いていたが、ほとんどが無関心のようだった。私はこの無関心さが、領土問題に対する国民の声なき批判のように思える。 

元海上保安官が尖閣ビデオ流出で講演

 2月14日時事通信

 沖縄・尖閣諸島沖の漁船衝突のビデオ映像流出事件で、起訴猶予となった一色正春・元海上保安官(44)が14日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し、「(映像を秘密にするのが)政府の命令だが、国のため国民のための観点から判断し、今回の行動に及んだ」と述べた。ー中略ー
 会場にいた石原慎太郎都知事が「愛国的な行動に敬意と感謝を表す。退職したのは残念」と持ち上げると、元保安官は「退職は組織のルールを破ったけじめなので後悔していない」。「英雄やヒーローと言われるのは間違い」とも述べた。

 2月14日産経新聞
 一色元保安官は海上保安庁の業務について「日本は国土が狭いが、排他的経済水域は広く、これを守っているのが海上保安庁。当然、国境警備隊の仕事も兼ねている」と説明。

 さらに、日本の現状に関して、「現在、日本はいくつもの領土問題を抱えています。最近はそれに加え、尖閣諸島にもそういう問題をつくろうという動きが出てきている」と指摘した。

 中国は名指しせず、“その国”と表現し、「“その国”は南シナ海で行った方法で日本に侵略を開始したとも受け取れる行動を取り始めた。その一環が、昨年9月に起こったことで、私が11月に流したビデオを見ていただければ分かる」と話した。
 元保安官は、「侵略」という言葉を使っていますので、ビデオの内容は、中国が尖閣を盗りに(不法)行っていることを示しているという認識ですね。「組織のルール(法)を破る」のを承知で国民に知らせたと言っている。それにたいして石原都知事は「愛国的」と持ち上げています。
私はこれまで「尖閣事件」をいろいろ書いてきましたが、180度違う彼らの認識が何故生まれるのか。
 この10数年石原都知事など中国は分裂する、崩壊するといい続けてきました。しかしさまざまな問題があるにしても、北京五輪、上海万博の成功など誰の目にも中国が崩壊する兆しがなくなると、中国が攻めてくると言い出した。歴史的にこの150年余り弱かった中国がやっと強くなってきたのは事実です。
 恐らく小心者の石原などは、強い中国に恐れを抱いている。東京都知事に当選したとき横田基地を日本に取り戻すなどと大法螺を吹いたがすぐ何も言わなくなった。強がりを言う人間ほど、強いものにひれ伏す。もし中国がアメリカをしのぐような国になれば、石原のような人間は真っ先におべっかいを使うようになるのではないか。
 

   孫崎享ツイッターより 

8月、9月保安庁尖閣周辺で外国漁船で退去警告件数は総数514件。513件まで何の事故もなく退去。事件を起こしたのは一隻だけ。だったらこの一隻の行動が特異と判断するのが普通。すでにツイート済みのように10月6件、11月0件、12月2件、これを見て中国事起こす意志 ありとみる?
 私は事実から物事を出発しなければ何も始まらないと思います。「この一隻の行動が特異と判断するのが普通」私は孫崎氏の分析能力を高く評価していますが「特異な行動」は保安庁が拿捕しに行ったからおきたと考えています。
 孫崎氏も中国漁船がぶつけてきたと思っているようですが、尖閣周辺の現状から中国は日本と事をおこすつもりは全く無いと言っています。「尖閣映画」の威力はすごいですね。孫崎氏のような優秀な人でも映像のマジックに騙されるのですから。

神戸新聞の三つの記事

 2月11日(金)、神戸新聞の三面記事の片隅に小さな記事が載っています。

Memo0082  海保が「尖閣衝突」で中国の漁船船長に巡視船の修理費を請求した記事です。もう尖閣事件の事は誰もほとんど言わなくなっていますが、私はしつこくウオッチします。日本の官憲というのは、セコイ。船長個人に請求したというのが芸の細かいところですが、中国政府は即座に拒否したようです。完全にすれ違う事を見越して、日本国内向けの言い訳ですね。船長は支払うわけが無いので、このままほっとくのでしょうか。刑事事件として起訴できないのなら民事上の損害賠償訴訟をおこして争うのが筋ではないのか、証拠のビデオも編集していないものを全部公開して真相を明らかにしたらいいのではないか。

Memo0086_2

 第2面にロシアが北方領土をふくむ極東地域に軍備を増強している記事です。昨年のメドベージェフ大統領による国後島訪問を「許しがたい暴挙」と発言した菅首相をうけて、日本をロシアの脅威と位置づけているようです。前原外相は11日モスクワに行ってラブロフ外相と会談しましたが、領土問題については平行線で何の糸口もつかめなかったようです。なぜロシアは最近になって強硬姿勢を続けているのかといえば、日本の尖閣問題に対する姿勢「尖閣に領土問題は存在しない」と同じ強硬な論理を持ち出しているのです。これは旧ソ連の態度と同じで北方領土問題は尖閣事件のあと完全に振り出しに戻ったようです。日本は中国を敵に回しロシアを敵に回し、アメリカには尻尾を振り続けるも利用されるだけで信頼は得ていない。前原外相のような口先だけで無能な政治家をなぜ日本国民は支持するのでしょうか。

Memo0088 2月12日付け神戸新聞

「尖閣事件」元保安官を起訴猶予

 1月22日の神戸新聞によると尖閣諸島での中国漁船拿捕・衝突事件の映像流出事件で東京地検は21日、映像を動画サイトに投稿して国家公務員法の守秘義務違反容疑で書類送検された一色正春海上保安官(44歳依願退職)を起訴猶予にした。この事件の処理をするにあたって東京地検は悩ましい判断を迫られた。

Memo0071

 本来、国民の知る権利とか情報公開を声高に叫ぶのはリベラル・左翼の専売特許と見られるが、この元保安官は思想的には右寄りで、日本の領土である尖閣諸島が中国に犯されたと、危機感を抱き違法行為を覚悟のうえ、正義感からビデオを公開したと言う。

 法治主義を唱え、日本の国家主権の強化を進める立場からすればこの元保安官を起訴するのは当然で、懲戒免職にしてしかるべきだ。しかしビデオの公開が「中国の無法ぶりを暴き日本の正義を証明した」と信じ込んでいる多くの日本人から見ればこの保安官を罰するのは「正義」に反する。そこで起訴猶予という甘い人治的な判断をしたと思われる。このことは中国を人治主義であると批判する日本の立場を危うくするもので、右翼国家主義者がアナーキーな主張をして国家の「解体」を助長している図式が見える。

 国家主義者を自認する作家佐藤優は苛立ちをかくさないで次のようなコメントを発表している。

日本の法益を明らかに侵害した中国人船長は起訴すべきだった。元海上保安官は社会的制裁を受けており、起訴猶予の判断は有りえると思う。ただ海保のような軍隊型の組織には特別の規律があるべきで、武器を持つ立場の人間が正義感だけで職務命令に反することには歯止めが必要だ。政府は中国への対応や情報管理の在り方について今回の件を総括して教訓とするべきだが、最後まで全ての問題点にふたをしているように感じる。 1月22日付け神戸新聞3面より

嘘はいつかばれる

 映画監督の伊丹万作が『戦争責任者の問題』(「伊丹万作全集1」筑摩書房刊)で、第二次大戦で悲惨な体験をした日本人の多くはだまされて戦争をやらされたと言っているが、当事者意識がなく簡単にだまされたと言ってけろっとしているようではこれから何回でもだまされるだろうと書いている。尖閣での漁船衝突・拿捕事件での日本人の反応を見るとこの「予言」は戦後65年たっても的確だといわざるを得ない。元外務省主任分析官で格段の博識を持つ佐藤優でさえ「中国船長がぶつけてきた」と思っているので事実が見えない。

 共産党独裁で資本主義をやっている中国は一般日本人から見ても欠陥だらけの国家で、批判すべき事は山ほどある。しかしそれは事実に基づいて批判すべきだ。謀略で虚構を並べて非難しても、相手は露ほどにも感じないし、いつか嘘はばれ、恥をかくのは日本人だ。満州事変では柳条湖の爆破現場の写真を公開してシナ兵の仕業だと日本国民や世界中を騙した。張作霖爆殺事件では苦力を殺しその死体を現場にならべて演出したが、戦後みな嘘だとばれてしまった。

二つの追送検

 同日、那覇地検でも海上保安庁の巡視艇に故意に衝突したとして公務執行妨害で逮捕後、処分保留で釈放した中国人船長を起訴猶予にした。那覇地検で会見した鈴木享次席検事は、船長が巡視船「みずき」以外にも「よなくに」に衝突したとする公務執行妨害容疑や、尖閣諸島周辺海域で操業したとの外国人漁業規正法違反容疑で20日に追送検されたことをあきらかにし、今回の処分に含まれるとした。

 この二つの追送検は矛盾に満ちたもので、最初のボタンを掛け違うと最後までなおらないことを示している。外国人漁業規正法で中国漁船を拿捕するなら網をうって魚を獲っている時に現行犯逮捕すればいいことである。なぜそうしなかったかといえば、孫崎享の言うように日中平和条約で未解決の領土問題は棚上げにするという暗黙の合意があったからだ。それまで中国漁船を公然と拿捕したことがなかったため躊躇した。

 田中康夫議員が『領海侵犯や違法操業、入管法違反という毅然たる「王道」でなく、公務執行妨害という「覇道」で逮捕の意気地なき判断ミスを前原氏が下したのが、その後の迷走の原因』というのはあたっている。後だしジャンケンで今頃追送検をしたところで、起訴しなければ負け犬(前原はケンカが弱い)の遠吠えにすぎない。 漁船が警告に従って網を上げ、現場から立ち去ろうとしたとき、進路を妨害すれば衝突せざるをえない。このとき現場には4隻から5隻の巡視船が中国漁船を包囲していた模様だ。最初から公務執行妨害をでっち上げて逮捕するつもりだったのだろう。政府のいう事は何でも信じる従順な国民は「違法操業をしながら体当たりをしてきた凶暴な中国漁船」に怒り狂った。昨年末の各種世論調査で日本国民の中国に対する不信感は国交回復後ピークに達した。

 私はビデオを公開した元保安官とは逆の立場で真実が知りたい。そのために政府はビデオの全部を国民の前に公開しなければならない。元保安官は起訴猶予処分を不服として検察審査会に審査を申し立てるそうだが、これからもこの動きを注視したい。 続く

尖閣諸島事件はアメリカによって仕組まれた

 副島氏は著書「中国バブル経済はアメリカに勝つ」の第2章で中国漁船拿捕事件はアメリカの指示によって行われたと明快に指摘しています。アーミテージ元米国務副長官が前原誠司を操り海上保安庁を使った謀略事件で、9月1日防災の日に伊豆の下田でリハーサルまでやったと書いています。

 私は尖閣諸島漁船衝突・拿捕事件について当初から、謀略的な匂いがあることは気付いていましたが、日本が主導的に拿捕したものと思っていました。しかし逮捕した船長を中国の剣幕に恐れを抱き早々釈放する菅内閣の無様な体たらくを見ると、副島氏の指摘が正しいと思います。日本は当事者能力が無いのです。

Memo0063

中国が日本に襲いかかって来る、という構図を作り上げて、映像を捏造して多くのテレビ番組で見せつけて、日本国民を中国恐怖症に陥れてぞっとさせるという筋書きだ。確かにこれは見事な手口だった。日本人は、こういう政治事件を起こされると本当に青ざめる国民だ。ー中略ー 今、東シナ海で起きているのは、「米中激突」なのであって、「日中問題」ではない。断じてない。日本も韓国も、これからももっと仕組まれるであろう軍事衝突の前哨(スカーミッシュ)で使われる尖兵であり駒でしかない。自分の行動に責任を持とうにも何も、責任を取る能力がもともとない。なぜなら、日本も韓国もアメリカ帝国の明白な属国であるからだ。「中国バブル経済はアメリカに勝つ」より

 続く

 

副島隆彦の本「中国バブル経済はアメリカに勝つ」

 4日前に本屋で副島隆彦の「中国バブル経済はアメリカに勝つ」と「日米地獄へ道連れ経済」を買い、ついでに”中国とこれからの「正義」の話をしよう”のタイトルにひかれ文春2月特別号も買って読んでいます。

Memo0066 刺激的なタイトルの副島氏の著作

 私はこの手の経済書を買うのは初めてです。昔から株をやらないし(金銭の余裕がない)経済にもうといので、今まで副島氏の本は立ち読みをしていた程度です。「中国バブル経済はアメリカに勝つ」に尖閣諸島での拿捕事件の事が載っていたので感想など書いていきます。

 尖閣での漁船衝突・拿捕事件が起きるまでは、いつも行っている本屋で「反中国本」はかなり少なくなっていました。数年前までは、やれ中国は崩壊する、分裂をするといった類の本が所狭しと並んでいたのが、ほとんど見られなくなっていたのですが、尖閣事件が起きてからは息を吹き返し田母神俊雄とか、日本に帰化した石平の本などがまた並べられています。それでも一時ほどの勢いがないようで、前ほど置いていません。副島の本は熱心な読者がいるようで新刊の一番目立つところにおいていました。 続く

2017年5月
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